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​解説
『ジュラシック・パーク』組曲
作曲:ジョン・ウィリアムズ

シリーズ最新作が7月末に公開されたばかりで、今最も注目されている作品の一つではないでしょうか。

『ジュラシック・パーク』シリーズの続編、『ジュラシック・ワールド』三部作の音楽はマイケル・ジアッキーノ。ジョン・ウィリアムズによる『ジュラシック・パーク』のテーマも重要なシーンで度々登場します。やはりジョン・ウィリアムズが作曲したテーマが出てくると心が躍ります。

もちろんジアッキーノの書いた『ジュラシック・ワールド』のテーマも素晴らしく、ピクサー作品やマーベル作品など数多くのサウンドトラックを手掛ける人気作曲家というのも納得です。

FILM BRASS過去公演でも演奏していますが、今回はピアノを加えたニューアレンジ。さらにパワーアップした演奏をお届け出来ると思います。

メンバー内には数ある映画音楽の中でこの曲が一番好きだと言い張る者もいるほどで、我々の十八番の一つです。

今回の演奏を聴いて、最新作を劇場で観たいなと思って頂けたらFILM BRASSとしてこの上ない喜びです。

『ハウルの動く城』組曲
​作曲:久石譲

2004年公開のジブリ映画、『ハウルの動く城 』。人気作ばかりのジブリ作品の中でも、特にファンの多い作品の一つかと思います。

声優陣も、 木村拓哉、倍賞千恵子、美輪明宏、神木隆之介と超豪華。第78回アカデミー賞にノミネートされるなど、世界的にも高い評価を得ています。

今回は“オープニング” “陽気な軽騎兵” “大掃除” “ソフィーの城” “星をのんだ少年” “人生のメリーゴーランド”の6曲をメドレー形式でお届けいたします。

“陽気な軽騎兵”では、華々しいトランペット。“大掃除”では戯けたような音楽。“星をのんだ少年”はトランペット飛田がフリューゲルホルンのソロで美しい旋律を演奏。そしてお洒落な和音のピアノソロや、ワルツが印象的な “人生のメリーゴーランド”。一つの組曲の中に、沢山の要素が散りばめられており、さまざまな景色のうつろいを感じられます。

この作品の久石譲の音楽は、次に演奏する『ゴッドファーザー』の音楽に影響を受けたのではという考察があるそうです。『ハウルの動く城 』と『ゴッドファーザー』を立て続けに聴く機会はなかなかないと思いますので、是非この機会にニノ・ロータの音楽と、久石譲の音楽を聴き比べてみてください。

『ゴッドファーザー PART III』組曲
​作曲:マスカーニ、ニノ・ロータ

フランシス・フォード・コッポラ監督『ゴッドファーザー』。

イタリア系マフィア、コルレオーネ・ファミリーの栄枯盛衰を描いた映画史に燦々と輝く名作中の名作です。

1972年に『PART I』、74年に『PART II』、そして『PART III』は、なんと16年もの歳月を経た1990年に公開されました。

”大人な男性”は、この映画をバイブルにしている、なんて方も多いのではないでしょうか。

本組曲は、オペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』”間奏曲”、『ゴッドファーザー』”ワルツ”、そして”愛のテーマ”の3曲で構成されています。

重厚なシリーズを締め括る『PART III』一番最期のシーンで使用されるのが『カヴァレリア・ルスティカーナ』”間奏曲”。

過去作品の回想シーンも流れ、男泣き必至の名シーンです。

続いて演奏される『ゴッドファーザー』”ワルツ”では、本来マンドリンが奏でる旋律を、とある特殊技巧を使い再現。トレモロという弦を小刻みに演奏する技法を金管楽器でどのように表現するか、是非ご注目ください。

最後に演奏する”愛のテーマ”は、世界一有名な”愛のテーマ”ではないでしょうか。イタリアの空気を存分に感じて頂けたら嬉しいです。

 

『ラスト・サムライ』
​作曲:ハンス・ジマー

主演はトム・クルーズ。アメリカ映画ながら、渡辺謙、真田広之、小雪など日本人俳優も多数出演しました。中でも渡辺謙はゴールデングローブ賞助演男優賞、第76回アカデミー賞助演男優賞にノミネートされる程の名演でした。

舞台は明治維新後の日本。変わりゆく時代の中で、侍と新しい政府との戦いを描いたアクション大作。侍の覚悟、死に様や生き様、武士道、ともかく痺れます。映像の美しさや、迫力満点の演技等見どころが満載です。

音楽はハンス・ジマー。彼は『インターステラー』『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ、『トップガン マーヴェリック』など、今の時代を代表する超人気作曲家です。

ダークな曲調で日本らしさが表現されています。サウンドトラックでは抽象的な音楽が大半を占めるのですが、その中から旋律的かつ映画のカッコいいところを選りすぐって組曲にしました。曲の最初の盛り上がり箇所では「セイヤ!」「ヤア!」といった男性の気迫あふれる掛け声に注目して頂けると嬉しいです。とても日本的ではありますが、ハンス・ジマーらしい重厚なサウンドも魅力で、FILM BRASSで今まで演奏してきたどの楽曲とも一線を画す作品かと思います。

『インディペンデンス・デイ』エンド・タイトル
​作曲:ハンス・ジマー

1996年公開のSF超大作『インディペンデンス・デイ』。物語の始まりはアメリカ独立記念日を直前に控えた7月2日。突如世界各地に現れた未確認飛行物体からの攻撃で地球上は大混乱に。奇しくもアメリカの独立記念日=インディペンデンス・デイ当日に地球の独立をかけエイリアンとの決戦に挑みます。アメリカ大統領、科学者、軍人、農夫まで、様々な登場人物の物語が交錯しています。どの登場人物にも魅力が溢れ、終始目が離せない作品です。

映画をご覧になってない方も、ホワイトハウスの真上にUFOが停まっている衝撃的なシーンはご存じかも知れません。

主演のウィル・スミスは今年のアカデミー賞での事件が記憶に新しいですし、2016年に公開された続編は……と最近は少しマイナスなイメージがあるかも知れませんが、オススメの映画です。アメリカ映画の特有の壮大な規模感、豪華なキャストに、明快なストーリー、そしてカッコいい音楽。何をとっても最高です。

トランペットによって高らかに奏でられるファンファーレが印象的で、まさに金管楽器の魅力がふんだんに盛り込まれた一曲となっています。

『ハリー・ポッターと賢者の石』クィディッチ
​作曲:ジョン・ウィリアムズ

ファンタジー映画の頂点と言っても過言でないシリーズ『ハリー・ポッター』。

2001年の『ハリー・ポッターと賢者の石』から、2011年の『ハリー・ポッターと死の秘宝PART2』に至るまで計8本に及ぶこの大作は、シリーズ終結後から10年以上経った今も尚幅広い世代に愛されています。スピンオフ作品の『ファンタスティック・ビースト』シリーズも現在進行中で、まだまだ私たちを楽しませてくれることでしょう。今回演奏する”クイディッチ”は、映画で使用された曲をジョン・ウィリアムズ自身がコンサート用にリアレンジしたもの。今風に言うところの”映え”アレンジで、耳馴染みの旋律が超絶技巧によって演奏されます。複雑に絡み合うリズムや和音は、ジョン・ウィリアムズの本領発揮といった感じで、FILM BRASS史上最も難関な曲と言っても過言ではないでしょう。

 

『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』 スレイブ・チルドレンズ・クルセイド
​作曲:ジョン・ウィリアムズ

ハリソン・フォードの代表作とも言える『インディ・ジョーンズ』シリーズ。

全部で4作公開されていますが、2023年6月には第5作目となる新作が公開予定だとか。今年80歳になったハリソン・フォードがいまだにアクション映画に出演しているというのは驚きです。また、今作でも音楽を担当しているジョン・ウィリアムズは御年90歳。こちらも驚きです。

そんな彼も『インディ・ジョーンズ 5(仮)』をもって映画音楽界からの引退を検討しているそうで、絶対に観過ごせない作品となりそうです。

今回取り上げる”スレイブ・チルドレンズ・クルセイド” は1984年公開の第2作目『魔宮の伝説』からの一曲。ホルンの朗々とした旋律、トロンボーン独特のグリッサンドや重厚な低音、輝かしいトランペットと、まさにFILM BRASSで演奏するに相応しい曲調。また『インディ・ジョーンズ』のコアなファンには人気の高い楽曲です。

 

『ライト・スタッフ』エンド・タイトル
​作曲:ビル・コンティ

『ライト・スタッフ』は、1958年から1963年にかけて実施されたアメリカの有人宇宙飛行計画”マーキュリー計画”の実話を基に1983年に製作された映画です。

戦闘機パイロットが孤独な挑戦を続ける姿と、国家からの重圧に耐えながら絆を深め合う宇宙飛行士たちとを対比して描くことで、別々の生き方の中にも勇気を持って行動する者達を称えた作品です。上映時間が3時間を超えるボリューミーな内容かつ、日本では特段知名度が高い作品とは言えず、ご覧になった方は少ないかも知れません。

しかし、この楽曲を2022年の演奏会に選曲したのには、特別な意味があります。

2022年、世界的に大ヒットとなった映画といえば何といっても『トップガン マーヴェリック』でしょう。『トップガン』の36年ぶりの続編ということで大変話題になりましたが、実は『ライト・スタッフ』へのオマージュに溢れた作品なのです。

『トップガン マーヴェリック』でトム・クルーズ演じるマーヴェリックが有人飛行でマッハ10の壁に挑戦を続ける姿は、『ライト・スタッフ』にて音速の壁に挑戦し続けた実在の人物チャック・イェーガーそのものです。

また、『ライト・スタッフ』で宇宙飛行士ジョン・グレンを演じていたエド・ハリスが、『トップガン マーヴェリック』にもキャスティングされているのも偶然ではないでしょう。彼は”マーキュリー計画”の後身”アポロ計画”を映画にした『アポロ13』にも出演しています。(FILM BRASS VIIIで演奏)

こうして今年再び日が当たった過去の名作を、今回のプログラムに入れない訳にはいきませんでした。

音楽は『ロッキー』で有名なビル・コンティ。作中ではホルストの”惑星”やドビュッシーの”月の光”といったクラシック音楽も多用されています。

また、ホルストの惑星”風(ふう)”といった感じの、モチーフにした楽曲が明らかな曲もいくつか登場します。エンド・タイトル終盤では、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲”風”の壮大な曲が登場します。クラシックファンにはクスッと笑えるものかも知れませんが、誇り、限界へ挑戦することの意義、そんなことを感じさせる素晴らしい楽曲です。

『ロシュフォールの恋人たち』キャラバンの到着
​作曲:ミシェル・ルグラン

1967年公開のフランスのミュージカル映画。『シェルブールの雨傘』と同じジャック・ドゥミ監督と作曲ミシェル・ルグランのペア。どちらの作品もフランス映画不朽の名作として世界中で愛されています。今回演奏する”キャラバンの到着”は日本でも大変有名な楽曲です。吹奏楽版の楽譜が出版されていたり、 CM等で使われる機会も多いので、きっと耳にしたことがあると思います。

劇中では、お祭りでショーを行なうキャラバンが映画の舞台であるフランスの港町ロシュフォールに到着するシーンで使われています。

快速なジャズワルツ、柔らかかつキレのあるダンス、ジャック・ドゥミ監督の美しい色彩感…カッコいいとお洒落が同居したような素晴らしいシーンです。

作曲のミシェル・ルグランは2019年に86歳で亡くなりましたが、いまだにフランスの映画音楽作曲家、ジャズ・ミュージシャンとして絶大な人気を誇るレジェンドです。

 

『ウェスト・サイド・ストーリー』サムウェア
​作曲:レナード・バーンスタイン

今年2月にスピルバーグ版でリメイクされ、再脚光を浴びたミュージカル映画界の王様的な作品。

ブロードウェイでの初演から65年、映画版が公開されてから61年経った今でも、色褪せることのない傑作です。

”サムウェア”は結ばれないと分かっている二人が「どこかに僕たちの居場所があるはずだ。いつの日か、どこかで…」と歌い上げる一曲。

哀しみの中に、希望や夢を感じる何とも切ないナンバーです。FILM BRASSの誇る歌うチューバこと池田のソロから始まるこの曲は、トランペット以外のパートによるアンサンブル。重厚で深みのある音楽を創り出せたらと思います。

 

『グレイテスト・ショーマン』This is me
​作曲:ベンジ・パセク&ジャスティン・ポール

今作はサーカスの生みの親、P.T.バーナムの半生を描いたミュージカル映画です。

ベンジ・パセクとジャスティン・ポールのコンビが音楽を担当しています。前年には作詞で『ラ・ラ・ランド』の大ヒットを飛ばしたペアです。

”This is me”は「これが私のあるべき姿なの、これが私(This is me)」といった力強い歌詞が印象的で、この映画の顔とも言える一曲です。もちろん管楽器で演奏する上で直接歌詞は表現できませんが、「This is me」と言わんばかりんにソロパートが次々にリレーしていきます。メンバーそれぞれに光が当たるので、さまざまな個性を聴いて頂けたら幸いです。

FILM BRASS VIIでも演奏し大変ご好評を頂いたので、ピアノを加えての再演になります。

『ライオンキング』組曲
​作曲:ハンス・ジマー

1994年公開。ディズニーアニメーション映画で最も成功した作品の一つです。昨今のフルCGのアニメーションではなく、昔ながらのアニメーションとしては今でも世界興行収入でトップを維持しています。(アニメーション全体としては『アナと雪の女王』、『トイ・ストーリー』に次ぐ3位)

人気の理由は、個性豊かなキャラクターやストーリーもさることながら、色彩感溢れる音楽にもあると思います。挿入歌はエルトン・ジョン、サウンドトラックはハンス・ジマー。

今回は、そんな作品の中から、4つの曲をお送りします。

朝日が上り動物達が動き出す描写が印象的な”サークル・オブ・ライフ”。

主人公シンバが幼少期に「早く王様になりたい!」と陽気に歌う”王様になるのが待ちきれない”。

エルトン・ジョンの美しい挿入歌”愛を感じて”。

ハンス・ジマーの”アフリカの大地”と”キング・オブ・プライド・ロック”を組曲にした”終曲”。

”サークル・オブ・ライフ”中間部、普段FILM BRASSでは演奏されることのない”ある管楽器”が登場します。とあるメンバーが100日かけて習得した音色をお楽しみ頂けるはずです。

また組曲全体を通して、打楽器の石川が大活躍。アフリカの民族楽器ジャンベを中心に、この作品の世界観を醸し出します。

“ディズニー映画”と侮ることなかれ!演奏会の締めに相応しい壮大なフィナーレをお楽しみに!

© 2018 by FILM BRASS

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